投資家の言うことは半分だけ。
今回は投資家のポジショントークとして以下を取り上げ、事業者との差を見ていきたい。
記事の大筋として
1.イトーヨーカ堂が不採算店の整理を進めて、収益の改善をめざすのは良いこと。
2.イトーヨーカ堂を含めたGMS不調の理由は、人口減と所得減という国内市場の傾向が続いたことと、専門大型店のチェーンに集客力でまけていること。
3.オムニ・チャネルは試行段階で、儲けが出ていないので、セブン&アイHLDGSはイトーヨーカ堂は売り払って、コンビニ事業に特化するべき。また、イオングループは小売業というより、ショッピングモール開発の不動産開発の企業グループとして投資すべき。
と理解して論を進めたい。
論の展開に対して対応して論じていこう。
1.これまでどおりやって行けない場合は、事業を止める選択肢はあるが、小売業の場合、接客能力が高い人材は資産なので、急激に再編を行って、人材流出は避けたい。整理対象が2割というのは、その点を考慮した結果なのであろう。
2.GMS不調の理由についての分析は十分でないと考えられる。例えば、元記事では挙げられていた衣料品の不振が挙げられている。業態転換で無く閉店であれば、新店効果と呼ばれる、開店後店舗の売り上げが低減する現象に対応しただけのことを、構造改革と強調しているだけにも見える。
一方、セブン&アイHLDGSの発表にあたると、抽象的だが、重要なことが書いてある。2015/09/18日付の「事業構造改革について」にある、「過去のチェーンストア理論の否定」である。
http://www.7andi.com/dbps_data/_material_/localhost/pdf/20150918_01.pdf
これは、大資本による中央管理的小売りのあり方の限界を認めていることで、
ホールディングス傘下のセブンイレブンでは地域別対応というべきPBの変革が試行されている。
つまり、GMSは駄目で判断を止めることで、企業の考えていることを一元化して理解できなくなる恐れがある。
3.オムニ・チャネル自体は、アメリカからの受け売りに見える。しかし、単一小売チャネルでは生き残れないという判断は、イオンもそうだし、コンビニからアウトレットモールまで手がける商社を見れば近年の趨勢である。そして、本家アメリカのセブンイレブンを飲み込んで世界に打って出たセブンイレブンが、業績が悪くてもその他のチャネルを切り捨てず「日本の小売」にこだわるのはのは不合理では無く「合理的」では無かろうか。
事業内容を判断せずに投資するのが「投資家」の本分なのかと疑問に持つ一方、
「良くわからない会社」といって投資をためらう「投資家」の限界も感じる。
事業継続性を考慮しない事で、投資家としての幅は広がるのだろうけど、
私は素直に肯定できない。